【美的アジア】ダライ・ラマ14世の素顔に触れ、あらためて考える“平和とは何か”
「日本人は平和のために何ができるでしょうか?」
彼の出した答えは決して難しいことではなく、いたってシンプル。スーッと胸に入ってきます。しかし、その答えこそが彼の国、チベットへの思いと重なるのです。
本作では、ダライ・ラマの素顔だけでなく、チベット亡命政権で暮らす子どもたちの姿も映しだされています。「勉強することが好き」「欲しい物はない」「ある物で満足している」と答える子どもたち。一方で日本人に同じ質問をしたときの反応に、「豊かさ」とは一体何なのかを考えさせられてしまいます。
また、チベット仏教にも焦点を当てています。チベット国境近くのラダックで行われる全身を投げだし、身の丈の分だけ進む“ゴチャック(五体投地)”。
「この世のすべての生き物が幸福でありますように」と自分だけではないすべての物への幸福の祈りは、物に囲まれ、膨大な情報に溢れる日本に暮らす私達に、何かひとつの気づきを伝えているようにも思えてきます。
ダライ・ラマは「仏教に絶対はない。多角的に見ることができることは、相手を受け入れ理解する力になる」「広い視点で見なさい」と何度も語りかけます。日本も今年戦後70年。この機会に、本作に触れてみることで、あらためてシンプルに平和について考える時間を作ってみるのも、いいかもしれません。
(text:Tomomi Kimura)
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