東大、シグナル伝達分子ASK1の分解を促進するタンパク質「Roquin-2」を発見
特にユビキチンが共有結合によって鎖状に連なった「ポリユビキチン」は、タンパク質分解酵素複合体である「プロテアソーム」によって認識され、分解されるべきタンパク質の目印となることがわかっている。
今回の研究では、具体的に、特定のタンパク質を消失させる「RNA干渉法」を用いた「スクリーニング」によって、ユビキチン化に関わる約1500の遺伝子の中から、このASK1のユビキチン化分解を促進するタンパク質の探索が行われた。RNA干渉法とは、標的とする遺伝子と塩基配列が同じ2本鎖RNAを細胞内に導入すると、標的とする遺伝子のmRNAが分解され、その遺伝子の発現が抑制できる技術のことをいう。またスクリーニングとは、目的とする遺伝子やタンパク質などを、多くの群の中からさまざまな手法を用いて選別・特定する作業のことである。
スクリーニングの結果に発見されたのRoquin-2だ。解析の結果、Roquin-2は、実際にヒトの細胞において、活性酸素の刺激によって活性化したASK1をユビキチン化して分解を促進すること、また活性酸素によって誘導される細胞死を抑制することが確認されたのである。さらに、実験に広く用いられている原始的なモデル生物である「線虫」