三菱重工、宇宙太陽光発電の中核となる無線送電技術の実験に成功
マグネトロンは本来加熱を目的としているため、送電に用いると不要な周波数の電波が発信されてしまうが、注入同期技術を適用することでこの問題をクリアした。
そのほかにも、アンテナの数を減らすために送電パネルを市松模様に並べる「スキャッタードシステム方式」や、受電装置の面積を減らすために電力を虫眼鏡の様に集中させる「焦点化アンテナ方式」を採用するなどの工夫によりコストの削減に成功した。
「精度」では、ビームの形状を制御する「位相同期技術」や「PAC法」、ビームの方向を制御する「レトロディレクティブ法」「クローズドループ法」などを用いることで、0.1度単位(500m先で1m程度の誤差)のビーム制御を実現した。
安間氏は「今後は4つの課題のうち残りの2つ(「小型化」「信頼性」)に取り組んでいかないといけない。長距離送電の実用化は5年後以降が目標となるが、電動車両への無線充電など、より近距離への応用はもっと早い時期に製品化できるのではないか」と語った。