利上げを急いでいないことを示唆したFRB~利上げ開始後には過度の懸念の反動も~
米FRB(連邦準備制度理事会)は18日、FOMC(連邦公開市場委員会)の声明文から利上げの開始を"忍耐強く"待つとの文言を削除するなど、早ければ6月の利上げに道を開きました。ただし、経済判断・見通しを下方修正したことなどから、市場ではFRBが利上げを急いでいないとの見方が強まり、株価が大きく上昇したほか、国債利回りが低下し、米ドルが売られる展開となりました。
FRBは今回、雇用は力強いとの判断を据え置き、失業率の見通しを改善方向に修正したものの、15年の経済成長率やインフレ率の見通しを引き下げました。また、政策金利の見通しについては、15年末で1.0%以上が適切と考えるFOMCメンバーの数が昨年12月の9人から4人に減り、利上げの間隔・幅が従来想定より緩やかになるとの見方の拡がりが示唆されました。イエレン議長が2月の議会証言で、「毎回のFOMC毎に利上げを検討する方向で準備している」と述べたことも踏まえると、利上げが開始された後、毎会合、同じペースで追加利上げが必ず行なわれる訳ではないと考えられます。
なお、前回の米金融引き締め局面で利上げが始まった2004年6月前後の状況を振り返ると、新興国通貨が利上げ開始前に揃って売られたものの、利上げ開始後は反発し、追加利上げの局面では通貨毎にマチマチの動きとなっています。