NTTなど、量子センサ実現へダイヤモンド中電子スピンの寿命の改善法を確立
この成果を活かし、ハイブリッド系を用いたダイヤモンド中の電子スピンの長寿命化に向けて研究に取り組んできた。
今回、NTT物性科学基礎研究所、NIIの根本香絵教授、大阪大学大学院基礎工学研究科の水落憲和准教授、NICTの仙場浩一上席研究員らによる研究チームでは、100マイクロ秒程度の寿命を持つダイヤモンド中の電子スピンと短寿命(10マイクロ秒程度)な超伝導磁束量子ビットを結合させるハイブリッド化により、電子スピンの寿命が約10倍となる950マイクロ秒にまで長くなるという現象を理論的に見出した。
これは、ダイヤモンド中の電子スピンを用いた量子センサの感度が一桁近く向上することを意味しており、高い効率で物質のイメージングが可能になると期待される。また、ダイヤモンド中の電子スピンはマイクロ波の印加といった外部からの要因を用いることで長寿命化を行っていたが、同成果は、ダイヤモンド中の電子スピンを超伝導磁束量子ビットに置くだけで寿命を約10倍に長くできるという、超高感度量子センサ実現に向けたまったく新しいアプローチとなる。同研究成果によって電子スピンの寿命が改善することで十分な計測時間の確保が可能になるため、計測感度の向上が期待される。