「新型基幹ロケット」の概要が明らかに―2020年の初打ち上げを目指す (2) 新型基幹ロケットはH-IIAからどう変わるのか
また、タービンの回転に使ったガスはそのまま外部へと捨てられる。これにより、効率では二段燃焼サイクルよりは劣るものの、プリ・バーナーがないためエンジンの構造が簡単になり、構造が簡単ということは造りやすく、信頼性も高いエンジンとなる。
エキスパンダー・ブリード・サイクルはすでに、H-IIの第2段エンジン「LE-5A」や、H-IIAやH-IIBの第2段ロケット・エンジン「LE-5B」で使われており、日本にとっては技術も実績もある技術だ。ただ、ロケットの第1段エンジンとして使うためには、エンジンを大型化し、大推力化、つまりパワーをたくさん出せるようにしなければならない。エキスパンダー・ブリード・サイクルの大型・大推力エンジンというのは過去に例がないため、開発が順調に進むかどうかが今後の注目すべき点だ。
LE-9の推力は公表されていないが、LE-9の基となった技術実証エンジン「LE-X」の推力は、海面上で1217kN(124tf)、真空中で1448kN(148tf)に設定されているため、これに近い値になると思われる。○固体ロケット・ブースター―SRB-Aを改良
第1段の下部の周囲には、固体燃料を使う固体ロケット・ブースターが装着される。