「活性硫黄物質」が極めて強力な抗酸化物質だった - 東北大など
しかしながらどのような仕組みによって酸化ストレスを軽減し改善するかについては不明だった。
そうした中、今回の研究で明らかになったのが、CBSやCSEがシステインに硫黄が過剰に結合した活性硫黄物質「システイン・パースルフィド」(画像2)を作り出すことだ。そしてマウスを使った解析から、活性硫黄物質が脳や心臓、肝臓など、あらゆる臓器に存在し、また正常なヒト血液中にも豊富に存在することが確認されたのである。
次に、これら活性硫黄物質が活性酸素に対してどのように作用をするのかが解析された。その結果として、活性酸素を消去することで、生体内で極めて高い抗酸化活性を発揮することが発見されたのである。さらに、細胞にCBSやCSEの遺伝子を導入してたくさん作らせると、活性硫黄物質によって細胞が活性酸素の毒性によって障害を受けず強い酸化ストレス抵抗性を獲得することも判明。システイン・パースルフィドはシステインと比べて、その構造に僅かな違いしかないにも関わらず、劇的に抗酸化活性が高まっていることが明らかとなったのである。なお活性酸素は、ヒトを含めた好気性生物が酸素を使って生命活動を営む上でどうしても発生してしまう毒性物質だ。