先頃発表された2月の完全失業率は、4.5%と5ヵ月ぶりの改善となったほか、同月の有効求人倍率は、前月比+0.02ポイントの0.75倍と、9ヵ月連続の改善となりました。
東日本大震災からの復興需要や、タイの洪水の影響を受けた、企業の生産活動の回復などを背景に、雇用の基調が緩やかながらも改善傾向にあることが示される結果となりました。
また、雇用全体に先行するとされる新規求人倍率は、前月の1.20倍から2月は1.27倍に大きく改善し、雇用の先行きも明るいことを示唆しています。
雇用の改善傾向は、企業の景況感の改善を反映したものであるとともに、消費者心理の改善を通じて、個人消費や住宅投資を促し、日本の景気を押し上げる要因になると考えられ、ひいては、日本株式市場を上昇させる材料としても注目されます。
実際、過去の新規求人倍率の動きと日経平均株価の動きをみると(左下図)、2002年以降の景気拡大局面では、新規求人倍率が緩やかに拡大を続ける中、株価も大きく上昇し、2007年後半以降の景気減速局面では、それまでと反対の動きが顕著に出ていたことがわかります。
足元で、新規求人倍率が改善基調を続ける中、日経平均株価の上値を抑えていたとみられる、欧州の債務問題に対する懸念や、円高の進行などの悪材料が後退しつつあることなどを考えると、緩やかな株価の上昇が期待されます。