持続可能な成長に向けて注目される中国における政策の舵取り
中国株式市場は、3月中旬以降、軟調な推移となっています。
これは、3月に開催された全国人民代表大会(全人代、国会に相当)において、2012年のGDP成長率目標が7.5%と、7年間掲げてきた「8%」から引き下げられたことを受け、中国の成長鈍化懸念が拡がったこと、そして、全人代後の会見において、温家宝首相が不動産価格抑制策の継続を示す発言をしたことなどを受け、それまで高まっていた同抑制策に対する緩和期待が一気に後退したことが背景になっていると考えられます。
2012年のGDP成長率目標の引き下げについては、「量より質」の経済成長をめざし、前計画から成長率目標を引き下げた第12次5ヵ年計画(2011年~2015年)と整合性のとれたものであり、持続可能な発展モデルへの転換に向けた意志の表れと受け止められます。
また、不動産価格抑制策の継続については、この秋に、中国の指導部交代が予定されていることもあり、スムーズな体制移行に向けて、価格上昇で生じる国民の不満を現指導部のもとで、できるだけ緩和しておきたいという意図が働いたためと考えられます。
物価の落ち着きや、金融・財政両面での政策余地の大きさなどもあり、足元の中国株式市場では、景気の下支えに向けた政策期待が高まりやすくなっています。