「健康」、「身軽」、「骨太」。新興国経済に注目が集まる
近年、多くの新興国は、1990年代、2000年代初頭に起きた金融・通貨危機などを教訓に、堅実な財政運営や構造改革を押し進めるなど、経済成長の基盤を整えてきました。
その結果、先進国と比べ財政基盤は着実に強化され、高い経済成長による所得の向上や消費の拡大などが、さらに経済を活性化させているとみられます。
こうしたことから、現在の新興国経済は、①相対的に高い債務の返済能力があり、②金融・財政政策の余地が大きく、③内需を中心とした経済成長構造へ転換しつつある、と考えられ、人の体に例えるならば、①は「健康」、②は「身軽」、③は「骨太」、という表現を用いることができるかもしれません。
多額の財政赤字を抱え、政策金利が低水準にあるなど、財政・金融政策の面で制約の多い主要先進国とは対照的に、多くの新興国ではその「身軽」さから、経済を浮揚させるこれらの政策余地が大きいとみられます。
そうした中、実際に足元では、先進国経済が停滞する影響が自国に及ぶ懸念などを踏まえて、金融政策を引き締めから緩和へと転換する国が目立っています。
今後さらに影響が深刻化するようであれば、財政政策などを通じた柔軟な対応が行なわれる可能性も考えられます。