欧州、アジア、アフリカが交差する場所に位置し、重要な輸出拠点として外国企業の進出が相次いできたトルコでは、勤勉な国民性などもあいまって、製造業が発展し、輸出の9割超が工業製品となっています。
過去約10年間で、輸出総額はおよそ4倍に増加し、地域別では、特に欧州向けの輸出が経済成長に大きく寄与してきました。
また、地の利を活かし中東、アフリカ、アジアとの貿易量が大幅に拡大しています。
トルコ政府は、産業基盤の強化をめざし、付加価値の高い産業の育成や誘致に力を注いでおり、税優遇などを通じて内外からの投資促進を図っています。
こうした政策の背景には、同国が、製造拠点としての役割を高める一方、部品など中間財の輸入依存度が高く、生産量が増えると同様に輸入が増え、輸出が伸びても経常収支の改善につながりにくいといった産業構造上の問題を抱えていることなどがあります。
しかしながら、今後、こうした投資促進策などによって、中間財の生産に関わる投資が増加するようであれば、景気拡大時に経常赤字が膨らみやすい経済構造の転換につながっていくと見込まれる上、経済活動をさらに活性化させると考えられます。
足元で、欧州景気が減速感を示すなか、トルコ経済への影響は少なからず想定されるものの、輸出先の多様化などを背景に、生産活動や輸出は引き続き、拡大傾向を維持するとみられます。