各国企業によるアジアへの生産拠点のシフトによって、アジアは「世界の工場」としての地位を築いてきたうえ、近年では経済成長に伴なう所得の増加などを受け、「巨大な消費市場」としても急成長しています。
こうしたことを背景に、アジアでは、製品の生産に伴なう設備機械・部品の輸入や完成品の輸出が、欧米などの先進国向けに加えアジア域内においても活発化しています。
こうしたモノの動きは、コンテナや貨物の取扱量に見ることができます。
下図の世界の主要なコンテナ港および貨物取扱空港にアジア各国が上位を占めていることは、アジアが国際物流の拠点としての役割を担っていることを示しています。
特に、香港やシンガポールでは、政府当局がアジアの地域統括機能の集積を積極的に推進してきたことなどもあり、香港は「中国本土にとって最も重要な中継貿易拠点」として、シンガポールは「東南アジアのゲートウェイ」として、その存在感を高めています。
物流拠点としての発展は、インフラの整備や都市化を推し進め、さらには雇用の促進などを通じて経済成長の押し上げに寄与するものとみられることから、香港やシンガポールの発展は、アジア各都市の先行事例と捉えることができると考えられます。