鉄道トリビア (158) 東武鉄道、西武鉄道、JR南武線…、「北武鉄道」もあった!
ちょっと残念である。
北武鉄道の設立は1920(大正9)年。
翌年4月、熊谷駅から行田駅までを結ぶ路線を開業させた。
しかし1922年9月に秩父鉄道と合併している。
合併直前の8月には行田駅から羽生駅まで延伸している。
熊谷~行田間が北武鉄道だった時期はたった1年5カ月。
行田~羽生間にいたっては、わずか1カ月だけだった。
秩父鉄道は1899(明治32)年、上武鉄道として設立された。
1891年に熊谷~寄居間を開業し、さらに西へ線路を伸ばした。
1911年には現在の長瀞駅まで、1914年には秩父駅まで開業した。
1916年に社名を秩父鉄道へ変更し、その後、影森駅まで到達。
北武鉄道と合併した後、1930年に三峰口駅まで到達して、現在の路線図が完成した。
ところで、一地域名である「秩父」よりも、「北武」「上武」のほうが広範囲を指すし、鉄道会社の名前にふさわしい気がする。
秩父鉄道の名が残った背景には、武甲山の石灰石(セメントの原料)が関係しているようだ。同社は1923年設立の秩父セメント(現太平洋セメント)にも関わっており、後に秩父セメントは大成功して主従関係が逆転する。