また、財政統合や欧州共同債については、意味のある進展がなかったようですが、債務問題を抱える南欧諸国等への対応について、ドイツの連立政権が従来よりもやや柔軟な姿勢をとりつつあるように見受けられた点は、良いニュースであると言えるでしょう。
なお、欧州の金融安全網が域内の銀行に直接、資本注入を行なうには、銀行監督の一元化を待つ必要がありますが、政府債務問題と銀行システムとの間の悪循環を断つとの意思が明確に示されたことも、評価できます。
ただし、いかなる支援も、例えばIMF(国際通貨基金)による監視など、厳しい条件が付された”覚書”事項であり、関係国・機関に義務を課すものではありません。
さらに、向こう数週間、極端な場合には向こう数日の内に危機が再燃することのないように、まだまだやるべきことは残っています。
例えば、足元の厳しい経済状況が、財政問題の改善に向けた取り組みを妨げることのないように努める必要があると考えられます。
このように、今回の首脳会議での合意をもって欧州を取り巻く困難な状況が一挙に解決する訳ではないものの、少なくとも当面は、市場の混乱に小休止が見られる可能性があります。