昭和の残像 鉄道懐古写真 (63) 鶴見線の貨物列車、華やかなりし頃
今回は1970年代後半、まだまだ鶴見線貨物列車が元気だった頃の写真を紹介しましょう。
鶴見線が旅客営業を開始したのは、いまから82年前の1930(昭和5)年10月。
もともと1926(大正15)年、日本を代表する京浜工業地帯の貨物輸送を担う私鉄、鶴見臨港鉄道として浜川崎~弁天橋間と支線が開業。
その後、扇町駅や鶴見駅へ延伸し、旅客営業が始まりました。
戦時中に国有化されて路線名が「鶴見線」となり、JRへと継承されています。
鶴見線の開業から現在に至るまで、一貫して続けられているのが貨物輸送です。
とくに戦後の高度経済成長期には、沿線の工場群への原料輸送と製品出荷が激増し、鶴見線の貨物輸送はピークを迎えます。
1962年には、浜川崎駅の発着トン数(貨物取扱量)が、当時の国鉄貨物取扱駅の中で1位を記録するほどでした。
その後、鉄道貨物の衰退とともに、鶴見線の貨物列車も減少。
現在、鶴見線で運転されている定期貨物列車は、扇町駅発着の石炭列車がたった1本のみ、しかも日曜運休。
他に不定期列車として、新芝浦駅発着の特大貨物と、安善駅発着のジェット燃料輸送が設定されているだけ、という寂しい状況となっています。