新興国債券市場の規模は、リーマン・ショック後の世界的な金融不安および景気減速などの影響から、一時的に縮小する局面もありましたが、新興国経済がいち早く景気回復に転じたことから、比較的短期間で拡大基調を取り戻しました。
また、多額の財政赤字を抱えている主要先進国とは対照的に、新興国の相対的に高い経済成長率や高い債務の返済能力、また、それらに伴なう信用格付の上昇などを背景に、投資家の資金が流入したことなども影響しているとみられます。
そうした中、国債と並ぶ水準まで、社債市場の規模が拡大していることが注目されます。
自国の経済成長に伴なう企業の資金需要の増加を受け、企業が社債発行を積極化させていることが規模の拡大の主な要因となっているとみられます。
また、企業の財務状況の改善や世界的な金利の低下傾向などにより、低コストで債券発行が可能になったことも影響していると考えられます。
今後も、新興国の企業による債券の発行は続くと考えられ、債券市場の規模の拡大とともに、市場の流動性が一層向上していくとみられます。
加えて、最近の新興国では、国債が格上げされる国が目立つようになっていることから、当該国の企業の格付の上昇や、それに伴なう価格上昇期待の高まりによって、新興国社債への注目度が増していくと考えられます。