悠久の歴史を紡ぐ、絹の物語~純国産絹、三煌の出来るまで~(前編)
は衰退の一途をたどる。養蚕農家や製糸工場とともに、その生糸生産量も急激に減少していった……。
■日本の絹を次代へつなぎ、世界に誇る絹織物を作る三煌物語
現在、国内産の絹のシェアは、日本で消費される絹量の1%にも満たない。そんな中、養蚕から製糸、製織まですべて国産にこだわった絹作りを、という思いで生まれた国産絹ブランドが「三煌(さんこう)」だ。
平成17年、「日本の絹を次代へつなぎ、世界に誇れる絹織物を作る」ために、三煌プロジェクトがはじまった。品のある光沢を持ちしなやかな質感の絹作りを目指し、蚕業技術研究所の研究者の協力を得て、蚕の品種改良を繰り返す日々。日本産の蚕種を交配させて、細くしなやかな糸を作る三煌の蚕を誕生させるまでには、20年を越える長い歳月が必要だったそうだ。
■品種改良した蚕種は飼育会社、契約農家で大切に飼育
蚕は、脱皮を繰り返して大きくなり、4度目の脱皮後に繭作りを始める。
最初の脱皮を行うまでの期間を1齢といい、5齢になり繭づくりをする。蚕は暑さ寒さ、また病気に弱い繊細な生き物であり、飼育にはとても手間がかかる。また3齢(3回目の脱皮)までは、特に感染予防や温度調節に気を使う必要がある。