人とつながるとは、贈り合うこと。「リー・ミンウェイとその関係展」体験記【冬に感じる恋とアート/六本木編】
人とつながるとは、贈り合うこと。「リー・ミンウェイとその関係展」体験記【冬に感じる恋とアート/六本木編】
存在を認め、受け入れる。それは関係を築くための第一歩だ。
森美術館では今、観客参加型アートで知られるリー・ミンウェイの『リー・ミンウェイとその関係展』が開催されている。
なぜ人は近づき、つながるのか。
参照作品として展示されていたアラン・カプローの映像作品「アクティビティ」では、男女が椅子に座り、少しずつ距離をつめていく様子が映し出されていた。近づいていく二人の距離に、緊張や違和感がわき上がる。
映像の中の二人の関係性は不明だ。ゼロになる距離を受容できる関係は、何がそうさせるのか。
リー自身のパーソナルな経験から発想されたアートは、何気なく過ごす日常が、いくつもの時の交換で成り立っていることに気づかせてくれた。
くじで選ばれたひとりのゲストのために、食事を用意し、展示室の一角でともに食事をする「プロジェクト・ともに食す」。ここでは、ゲストとの食事のため、ホストは場を整え、相手を想像し、自らの経験やあらゆる知識を活かして、食材を選び、調理し、盛りつけ、提供する。そしてふたりは食卓を囲み、同じものを“ともに”食す。