フェチから創るダークファンタジー--資生堂トップアーティスト原田忠の創作の源泉
――究極のこだわりがあるように感じます。ディテールフェチなんです。自分はきっと、細部フェチであると思います。自然の造形美や動物、昆虫、絵画や建築などデザインされたもの等々……時間と労力を費やした人の手が作り出した細かい仕事にはとその人の思いを感じて、ついつい魅入ってしまいます。基本的に細かい作業や気の遠くなる作業は嫌いではないです。例えば髪の編み込みは、髪の毛1本1本を丁寧に扱い、制作に時間を要する繊細な作業です。細かいディテールが積み重なって形を成す過程や、作業に集中することで新たな発見に出合える楽しさを見出すことができます。それらのものづくりのエネルギーの結集が作品だと思っています。
――妖しい美しさを感じますが、人生で初めてセンシュアリティーを感じた対象はなんですか。1976年公開のアメリカ映画『キングコング』のヒロイン(ジェシカ・ラング)に女性らしい優しさや母性を感じました。時に力強く、時に艶めかしく。キングコングとのコントラストでより際立っていたように記憶しています。その印象は、幼少期の自分の目に強烈に焼き付いた対象と言えます。――原田さんにとってセクシーなアイコンとは?アーマロイド・レディー(漫画『コブラ』のキャラクター)