2024年3月17日 21:55
ミューラル 2024-25年秋冬コレクション - 深い夜の先に
闇夜をうつして
ファーストルックは、まっさらな濃紺の空をうつしたかのようなネイビーブラックのロングコートと端正なテーラードのレイヤードスタイル。生地の素材感や仕立てのクオリティが引き立つシンプルな品々だが、コートの中間部分には霞みがかったライトブルーやイエローのパターンが施されている。闇夜に灯されたあたたかな光が、周囲をほんのりと照らす様を彷彿とさせた。
月の光が揺れる
夜の暗さだけでなく、明るい部分にフォーカスしたルックも登場。流線的なドレープ調のドレスは、光沢感のある白いマテリアルが無垢な清光のように輝く。同じくホワイトカラーのアイテムでは、複数の箇所にボタンが配され、かけ方を変えれば異なる艶めきを魅せるであろうシャツやドレスが並んだ。
記号的な温もり
夜は空だけにあるものではない。夜景からは、人間の手による建築物の影が浮かび上がってくる。
その形は無機質でありながら人間にしか作り出せないものでもあり、やはりどこか温もりのようなものが感じられる。そうした夜の人工物に見られる記号性は、キルティングによって再現。やわらかな立体感のあるベルベット素材をベースに、幾何学的なパターンを刺繍することで、相反する要素を一体の中に同居させた。