2024年3月19日 22:25
ソウシオオツキ 2024年秋冬コレクション - 記憶、あるいは過去と現在の架橋
だから、バルカラーコートやテーラードジャケットなど、ドレープ感のあるファブリックを用いつつ、その分量を多く取ることで、さながら余韻を残すような、リラクシングな佇まいに仕上げられている。
こうして、過去から現在に立ち現れる衣服は、原型とは異なる表情を帯びよう。ダブルブレストのスーツは、ハリのあるウールから一転し、光沢とドレープに秀でたファブリックへ。ショルダーも、些かドロップさせることで、テーラリングの構築性をリラックスさせているといえる。あるいは、デニムジャケットやデニムパンツは、グラデーションを帯びた表情に仕上げ、さながら経年変化を帯びたような佇まいへと昇華した。
このように、テーラリングを基調とするクラシカルな佇まいのなかに、日本的な要素を随所に見て取ることができるように思われる。着物を彷彿とさせる、ショルダーの直線的なパターンやカシュクール風の前合わせは、その例だろう。あるいは、神社のしめ縄を彷彿とさせるディテールをあしらったニットやタッセル、光沢のあるシャツにのせた極彩色の花鳥など、洗練されたウェアにアクセントを添える装飾的な要素としても取り入れられている。
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