野口五郎明かす苦悩の下積み「歳ごまかしキャバレーで歌を…」
真っ暗なステージにスポットライトが当たると、ギターを抱えた歌手・野口五郎(64)の姿が浮かび上がった。野口が特別な思いを寄せる場所、Bunkamuraオーチャードホールで2月22日、『Goro Noguchi 50TH ANNIVERSARY CONCERT TOUR 2020 I can sing here~今ここで歌える奇跡~』が開かれた。
今年は、デビュー50年目に突入する大きな節目の年でもある。会場が揺れるほどの「ゴロー」コールを巻き起こしたかと思うと、しっとり聴かせる。その緩急織りまぜた演出に圧倒された――。そんな、ファンを魅了し続ける彼の、大ブレイクに至るまでの道を語ってもらった。
野口五郎(本名・佐藤靖)は、56年、岐阜県美濃市で生まれた。
「父方の祖父が人形浄瑠璃の語りをやっていて、親父も歌手を目指して頑張っていたんです」
ところが、太平洋戦争で召集され、歌手の夢は断たれてしまう。
「母も歌手志望で、ポリドールレコードからデビューする話もあったんです。でも、家族に大反対されて断念。戦後、ボランティアの青空楽団の専属歌手をしていて、父と知り合った。だから、家族全員、歌が好き。