空白の額縁を美術館に送った芸術家に1千万円超の支払い命令
当時、CNNのインタビューでハニングはこう語っている。
「私の芸術的見地から言わせてもらえば、彼らの想像をはるかに超える作品を作ることができたと思っているよ。私は金を盗んだとは考えていない。芸術作品をつくったんだ。それも、計画されていたものより10倍も、100倍も良い作品をね。何が問題なんだ?この新しいアートは、宗教や結婚といった社会構造、制度について考えることを人々に促しているんだ。そして、必要であれば……金を持って逃げろ」
クンステン近代美術館は送りつけられた額縁に、プリントアウトしたハニング被告のメールを添えて展示。そして、制作費を着服したとして全額の返済を求めハニング被告を提訴したという。
ハニング被告は支払いを拒否し、法廷闘争に発展した。
およそ2年にも及ぶ裁判の末、裁判所は「ハニングは2つの異なる作品を美術館に納品することに同意していたが、美術館との契約内容に鑑みると『Take the Money and Run』には欠陥がある」として、ハニング被告側に貸与された制作費のうち、諸費用を差し引いた49万2549デンマーククローネ(約1050万円)を返還するよう命令を下した。