「迫力なき内閣不信任案」にあった立憲の弱腰姿勢…問われる野党第1党の本気度
内閣不信任案を単独で提出できるのは、野党で衆院議員51人以上の賛同を得られる立憲に限られる。立憲はなぜ、その切り札を切れずにいたのか。一つが、東京地検特捜部の捜査が閉会後に本格化するとの期待からだ。不信任案の提出によって首相が衆院解散に踏み切った場合、立憲は「選挙妨害を理由に捜査に影響する」(幹部)と警戒していた。
もう一つは、野党分断の影響だ。半年前の通常国会会期末。立憲は否決を織り込み済みで内閣不信任案を単独で提出したが、維新と国民民主に反対に回られただけでなく、会期末の「盆踊り」「茶番」とまで冷やかされた始末だ。さらに岸田首相がちらつかせた解散権を下ろしたのを見届けてからの後出し的な提出に「弱腰」と失望もされた。
今回も維新、国民民主が賛成するか直前まで読み切れず、「出すときは本気で出さないと」(安住淳国会対策委員長)と歯切れが悪いままだった。
内閣不信任案は、分立する立法府が行政府とせめぎ合うための特権だ。与党の反対多数で否決されるとしても、政権との対決姿勢を鮮明にし、野党第1党の存在感を高め、威信にもかかわる。提出理由を討論でき、世論の喚起にもつながる。
決断を一任された泉代表は「世論がどこまで本気で岸田政権を倒す思いを持っているか」