と姉に抗議すると、彼女は「そんな汚いものいらないからよ」と一蹴。クライツァーは思い出として毛布を持ち帰り、7年間に渡って保管していた。
クロゼットをひっくり返し、目当ての毛布を発見するも、彼の家族の反応は冷ややかなものだったという。母親は「うまくいっても10ドルくらいじゃないの」と鼻で笑った。なぜなら、その毛布は床に敷かれ、飼い猫が産んだ子猫をキャッチするときに使われていたからだ。クライツァーはブランケットに秘められているであろう可能性を信じ、2012年にオークションハウス「ジョン・モラン」に持ち込んだ。
競売にかけられた祖母の形見はみるみる値段が吊り上がり、クライツァーは大汗をかき、呼吸ができないほど緊張したという。そして、150万ドル(約1億6千万円)でハンマーが鳴らされた。
落札者はまさに運命のあの日、『アンティークス・ロードショー』でナヴァホ族のブランケットに50万ドルの値を付けた鑑定人、ドナルド・エリスだった。クライツァーの祖母が子猫を包んでいた毛布は、1840年代にナヴァホ族によって手織りされた、非常に価値の高い逸品だったのだ。
彼は売却金で家を購入し、夢だったハーレー・ダヴィッドソンのバイクを手に入れた。