世田谷美術館「企業と美術シリーズ」第5回は東急とコラボ 東急各線にまつわる資料などから社会の変遷をたどる
人々の住環境を醸成し、利便性のみならず、豊かな暮らしを提案する東急はまた、五島育英会、東急財団、五島プラネタリウム、五島美術館、電車とバスの博物館、Bunkamura、さらに多摩川スピードウェイや駒沢野球場、田園コロシアムなど、文化的・社会的な様々な事業も展開してきた。
「東横、目蒲電車沿線案内」、東京横浜電鉄株式会社・目黒蒲田電鉄株式会社、1937年頃、世田谷美術館蔵
同展では、その東急の100年を超える歩みを様々な資料を通じてたどるもの。東急が運営する「電車とバスの博物館」の全面協力により、歴代の鉄道車両の模型や設計図面、記念乗車券の数々、開札鋏などの懐かしい鉄道アイテム、さらには遺構レールといった驚きの品が登場するほか、宅地開発の模型やパンフレット、様々な文化事業にまつわる資料も並ぶ。
蒲田駅(1958年)再現模型、電車とバスの博物館蔵
東京という大都市圏における生活基盤の整備のために、東急が果たしてきたこれら先駆的な事業や取り組みを紹介する同展ではまた、美術作品の紹介もある。東急線沿線には、大勢の美術家たちが拠点を構えてきたからだ。竹久夢二や岡本太郎、河原温など、総勢40名を超える世田谷区ゆかりの美術家たちから、五島記念文化賞を受賞した現代アーティストまで、幅広い世代とジャンルの表現に出合うことができるだろう。