2.5次元の先を行く!? ラッパ屋最新作『2.8次元』に鈴木聡が込めた思い
その危うさも……。「いまは、いろんなソフトがあって、企画書もみんなデザインがキレイで見やすいの。昔は手書きで文字ばっかりだったのに(笑)。でも“デザイン化する”というのは、細かい微妙な情報を振り落とすということ。広告がまさにそうで、ものすごい情報量の中から、売れるもの、一瞬で届くものだけをピックアップして加工して伝えていく。それが、いまや世の中全体がそうなってる。いや、モノだけじゃなく、“自分”さえもキレイな写真や140字のわかりやすい言葉で自己プロデュースして伝えていかないと生き残れない時代になってる。今回、財政難の老舗劇団を描いてるけど、いまの若い人たちは生まれた時からそういう波にさらされながら、生き延びないといけないわけで、それはそれですごく切ないことかもしれないよね」。
ラッパ屋『2.8次元』撮影:木村洋一
ちなみに、本作への劇団員たちの反応は? 「劇中劇の2.5次元のパートをやる時は、みんな、ノリノリで楽しそうにやってますね(笑)」。
2.5次元に加えられた“0.3”の中身は希望か? 祈りか――?鈴木やキャスト陣と同世代の従来のラッパ屋の客層はもちろん、若い層の感想が気になる作品である。
ラッパ屋『2.8次元』は紀伊國屋ホールにて6月16日(日)まで上演中。
取材・文:黒豆直樹