ミロコマチコら自然に深く関わり制作する5人を紹介『大地に耳をすます 気配と手ざわり』東京都美術館で
川村喜一《2018.1121.1043》2018年作家蔵
同展では会場の空間に合わせた新作の発表もある。移住した奄美大島で自然と生活の密接なつながりを感じながら、生き物の気配や生命の煌めきが濃厚に漂う作品を生み出すミロコマチコは、同館の広い空間に合わせ、ダイナミックなインスタレーションを制作。また、自然の素材を育て、採集しながら、その地で暮らす人に取材した作品を制作するふるさかはるかは、取材先の青森の漆を使った15枚組の大作木版画に取り組み、青森の木立のような展示空間をつくり出している。
水彩による植物画に取り組む倉科光子は、2013年から、東日本大震災の被災地に生えた植物の変化を描き続け、近年では復興事業で変わりゆく植生にも目を向ける。植物と目を合わせるかのような低い視点から描かれる作品には、被災した人々の営みも重ねられているという。
倉科光子《39°42’03"N 141°58’15"E》2015-21年作家蔵
様々な技法を用いる5人の作家が、様々な角度から人と自然の関係性を問い直す同展は、観る者に大地の息づかいを生き生きと伝え、「生きる感覚」を呼び覚ましてくれることだろう。
<開催概要>
『大地に耳をすます気配と手ざわり』
会期:2024年7月20日(土)