鞘師里保が再びリリーを演じるshared TRUMP シリーズ 音楽朗読劇『黑世界』上演中! 特別企画付きの配信も
リリーは『LILIUM』に続き鞘師里保が、チェリーは新良エツ子が演じる。
【雨下の章】【日和の章】ともに、「朗読劇」の典型的なイメージである椅子に座って物語を語っていくスタイルとは全く違う仕上がり。手に台本を持ち、ソーシャルディスタンスを保つという不自由に囚われながらも、役者たちは美しい音楽、衣装、舞台美術、照明と共に全身で芝居をし、観客を物語に引き込んでいく。各章6篇の物語で構成され、一話あたり数十分の短い物語となるが、脚本家それぞれが生み出した物語が濃厚なため、時間の短さを感じることはない。
劇作家、小説家、お笑いとジャンルも幅広く、個性的で魅力的な作家たちの脚本は、各作家のファンなら特に「あの人の台本だ」と気付くであろう匂いが残されている。つまり一つひとつの作品が表現も違えば手触りも違うため、バラバラになりかねない。しかしそれを末満がきっちりTRUMPシリーズの世界に帰着させ、役者たちも生き生きと登場人物を演じていた。作品によって空気感は変わり、鞘師、新良、松岡充以外は話によって全く違う登場人物を演じるが、その演じ分けも本作の面白さのひとつになっている。
役者陣の個性が生かされたそれぞれの役柄も、ぜひ堪能してほしい。