「今だからこそ共感できる作品」木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻』内田慈×土屋神葉インタビュー
初演では、激しい情念を抱え、シーンごとに思いがけない振る舞いをする玉手御前という役の「パーツがつながらず困った」と語る内田。
内田一度演じた今では、全てが必然に感じます。全て先を読んでいたわけではなくて、不器用だったかもしれない点も含めて。正しいかわからなくても、やるしかないと必死に行動していた人。木ノ下先生の「玉手御前の行動は彼女なりの世界平和のためだと思ってみたら?」とのアドバイスから、彼女が“自分の周りの世界を平和にしたい”と思っての行動だったと捉えることができ、スッと自分の中に入ってきました。
一方の土屋は、俊徳丸という役について、「白紙です」と笑う。
土屋歌舞伎でこの作品を観た印象だと、線が細くて中性的なイメージです。でも今回はどんな雰囲気にするかも含め、(稽古場で)共演者の皆さんとお会いして、まわりのお芝居を観て、その上で自分の役割を探していけたら……。すべては稽古で決まると思います。
木ノ下歌舞伎では、作品の稽古に入る前にまずその演目の歌舞伎を「完コピ」することが知られている。
内田お父さん役の武谷(公雄)さん、お母さん役の西田(夏奈子)さんは稽古開始1カ月前に「完コピ稽古始めた?」