ケネス・ブラナー監督「現実逃避してほしかった」 『ナイル殺人事件』でこだわった映像美について語る
監督を務めたケネス・ブラナーは、本作について「しばらくの間、実際に旅することが叶わない観客に、素晴らしいシネマチックな旅とエキゾチックなロケ地の映像美を楽しんでもらい、現実逃避してほしかったのです。以前と異なる世界の状況の中で、私にとって重要なのは、映画製作で最善を尽くし、人々に娯楽を提供し続けたいと思っています」と語り、世界的に自粛を求められている中でも、観客に映画を通してまるで世界を旅しているかのような疑似体験ができる機会を作りたいという強い想いがあったことを明かした。
また、「エジプトが舞台であるだけに、その歴史について意識せざるを得ないものです。クレオパトラやナポレオンなどこの国につきまとう幻影に思いを馳せないわけにはいきません。観客はナイル川を下る旅をして、エジプトの荘厳な輝きに飛び込み、心から楽しめることができると思っています」と語り、本作が単なるミステリーに留まらず、没入感たっぷりの旅情感豊かな体感型ムービーに仕上がっていることを明かした。さらに本作には、エジプトの観光地としても有名なアブ・シンベル神殿が登場するが、なんとこのセットは実物大で建設されたという。40人に及ぶ彫刻師が4か月かけて高さ約21.3メートル、幅約30.5メートルという圧巻のサイズで神殿を再現。