序曲、ヤナーチェク(フルシャ編曲)の歌劇「利口な女狐の物語」大組曲、ドヴォルザークの交響曲第3番という凝ったプログラム。どれも聴く機会はかなり貴重だ。スメタナは今年生誕200年。「リブシェ」序曲冒頭の輝かしいファンファーレは、チェコの国家式典でも用いられている。ドヴォルザークの交響曲第3番は作曲者がブレイクする前の意欲作。型にはまらないおもしろさがある。
最大の聴きものは、フルシャ自身の編曲によるヤナーチェクの歌劇「利口な女狐の物語」大組曲の日本初演だろう。「利口な女狐の物語」にはこれまでにも組曲がいくつか編まれているが、いずれもこのオペラのごく一部分の魅力を伝えるものでしかなかった。
今回の編曲は約30分の長さを持ち、オペラのストーリーに添った順序で音楽が組み立てられているという。みずみずしく独創性豊かな音楽にあふれたこのオペラのエッセンスを伝えてくれる待望の組曲の登場を喜びたい。
フルシャはほかにブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番(独奏:五明佳廉)とブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」(コーストヴェット:1878/80年)を組合わせたプログラムも指揮する。こちらも語り継がれる名演になるのではないだろうか。