時空を超えて日本各地から奈良へ 最強武神の毘沙門天彫像が集う
須弥山世界の四方にいる四天王(持国天・増長天・広目天・多聞天)から、北方を守護する多聞天=「毘沙門天」の彫像の魅力を紹介する特別展『毘沙門天 ─北方鎮護のカミ─』が、奈良国立博物館で3月22日(日)まで開催されている。
仏教世界や仏法を守るカミである四天王の中でも、特別の存在である「毘沙門天」。近年、毘沙門天像の優品が相次いで発見されている。この展覧会では、これまで知られていた毘沙門天彫像から優れた作品を厳選し、国宝2件、重要文化財18件を含む 37件の彫像が一堂に会している。
展覧会会場は4章で構成される。第1章「独尊の毘沙門天像」では、奈良時代(8世紀)から鎌倉時代(13世紀)につくられた、独尊の像が並ぶ。いずれも表情やポーズに個性ある表現が見られ、木の種類、着色や漆箔の有無、ダイナミックな彫法、さらにそれらの由来など、見どころも多い。
第2章「毘沙門三尊像」、第3章「双身毘沙門天像」、第4章「『兜跋』形毘沙門天像」では、平安時代から鎌倉時代(9世紀~13世紀)につくられた像を見ることができる。
サイズが7cmほどの小さなものから2mを超えるものまで幅広く、信仰の対象としての毘沙門天彫像の存在を、改めて感じることができるだろう。