2022年12月21日 17:00
“戦場記者”須賀川拓が信じるもの。「このひとつひとつの積み重ねが、世界を、社会をいい方向へ変えてくれる」
今回は映画ですから、テレビの宿命である瞬間、瞬間を切り取ることにとらわれる必要はない。現地で僕が目の当たりにしたこと、人々から聞いたことをそのまま描くことで、戦場のリアルを、戦地の現実をそのまま伝えられればと思いました」
見て見ぬふりすらもされない
アフガニスタンの“橋の下”の惨状
須賀川の言葉どおり、通常のニュース報道ではこぼれ落ちてしまいそうな名もなき人々の生の声や、地上波ではちょっと流すのが難しい悲惨な映像も収められている。とりわけ強烈な印象を残すのが、いまだ混乱の続くアフガニスタンからのレポート。貧困と薬物が蔓延する今のアフガニスタン社会の縮図と言っていい、どこにも行き場のないドラッグ中毒者たちが数千人集まった橋の下の光景は、衝撃を受けるに違いない。須賀川はそこにも臆することなく足を踏み入れる。
「ショッキングな映像ですけど、こういうことをちゃんと見せないとアフガニスタンの現実は伝わらない。
だから、この話を聞いたときに、行こうと決めていました。
あの橋の下は、もうこの世の終わりというか、人々はカメラに撮られようともうどうでもよくなっていて、目の前で薬物を吸い始める。