一〇〇本ツアー終了の翌日に行われた一〇一本目の追加公演 ツアーのすべてとこれまでの森山直太朗の歩みを感じられた壮大なライブの模様をレポート
そのあまりにも永すぎる時間を彼は声にして我々に示す。こんなちっぽけなんだよと。今は一瞬なんだよと。だからこうして集まっていることが奇跡なんだよと。例えば孤独を感じたら、「どこもかしこも駐車場」――そんな光景を思い浮かべてみたらいい。確かに寂しそうで味気ない光景ではあるが、現代の我々にとって誰もがすぐに思い浮かべることのできる共通の記憶として機能する。そしてこう思えばよい。みんな同じような空白を抱えている。
自分だけじゃないんだと。「生きてることが辛いなら」の後に、本編最後の曲として、この「どこもかしこも駐車場」を選んだ直太朗の切実な想いが滲みた。
アンコール2曲目は「さくら」。
「僕がたくさんの人たちとのつながりを持てたのもこの曲のおかげだったのかなと思っています。すべては弾き語りから始まりました。駅前とか部屋の片隅で歌ったりして、それこそマイクや照明なんかなくて。だから最後はアカペラでこの曲をやりたいと思います」
オフマイクの生声だけで1番を歌唱し、2番はピアノの伴奏とともに歌った。『原画』の際に独占インタビューという形で話を聞いたときに彼が言ったこんな言葉が思い出された。
「もちろん人それぞれなんでしょうけど、多かれ少なかれ、人生というのはゼロからゼロへ戻っていく孤を描いているのではないかなと感じますね」