「キッチンからカーネギー・ホールへ ~エセル・スタークとモントリオール女性交響楽団~」 11月29日発売!
ヴァイオリニストとして早くから類稀な才能を示した彼女は、重役夫人で音楽愛好家のマッジ・ボウエンと出会い、運営も演奏も女性たちだけのフルオーケストラを立ち上げます。
演奏する喜びに突き動かされ、幾多の困難や差別をも乗り越えていく女性たちの姿が、当事者たちへの取材と貴重な資料を通じてたんねんに描き出されます。
ウーマン・リブや公民権運動よりも前に、このような女性たちが道を切り開いてきたという事実に、驚くとともに大いに勇気づけられる一冊です。
【本文より】
音楽界におけるこの女性運動がきっかけとなって世の中にも変化が訪れ、来るべき世代のための新たな社会が形づくられていった。従来は男性のものだった交響楽団の基盤を揺さぶり、あらゆる職業の女性たちに平等の機会への扉を開け放ったことで、エセル・スタークとマッジ・ボウエンは社会全般における女性の地位も向上させたのである。
だが、駆け出しの音楽家たちの楽団を描いたこの物語、カナダの音楽に革命を起こしたモントリオールの弱き者たちの物語は、突き詰めれば、さまざまな国籍、民族、宗教、社会階層、年齢の人々をひとつに結びつけるものについての物語だと言える。