三木みどり個展ー「かわいい」の儚さ、永遠の愛 を9月13日〜25日までMEDEL GALLERY SHUにて開催
しかし、それらの「かわいいもの」を単に描きたいというのではない。私はそれらの食べものが新鮮かつ綺麗でビジュアルにおいて理想的な状態と、そうではない状態を同一画面に様々な表現方法により描き、表面上の「かわいい」と、その結果に生まれるものの両方を存在させる。具体的にはそれらのかわいいもののビジュアルが朽ちる、崩れるなどの変化を遂げた様子を描く、また宝石やリボンなどの無機質なものをそれらと同じく並べる、あるいはぐるぐるに絡めるなどである。「かわいい」が見かけとしての本来の在り方を失いながらも、儚さや執着などの様々な思想や感情、記憶などを想起させ、相反する事象から人は「かわいい」の本質である「幸せ」の在り方に気付きを得るものと考えている。そしてそれは、「幸せ」と切り離すことのできない「愛」や「永遠」のテーマにも結びつく。またインスタレーション作品においては、綺麗な状態のかわいいものをフェイクで大量に造り、それらを用いて様々な場所、状況、展示方法で「かわいい」を展開してきた。大量の板チョコやポップコーンは言葉では可愛らしいメルヘンを想起させても、現実空間でのそれは素直に可愛いと言えない一種の異様さを醸し出しもするだろう。