ウグイスが鳴く理由に「新説」発表 「ホーホケキョ」ではなく「ピルルルルル…」国立科学博物館
ウグイスの鳴き声に新説
独立行政法人国立科学博物館(館長:篠田謙一)はこのほど、ウグイスの雄の「谷渡り鳴き」について、これまで考えられてきた警報の意味合いではなく、雌に対するアピールであるという仮説を提唱した。
濱尾章二グループ長(動物研究部)らの調査結果をとりまとめたもの。ウグイスの雄は、繁殖期の春から夏、「ホーホケキョ」などのほかに、「ピルルルルルケッキョケッキョ…」などと聞こえる「谷渡り鳴き」と呼ばれる鳴き声を発する。人と遭遇したときなどに発せられることから、捕食者の存在を同種他個体に知らせる「警報」ではないかと考えられてきた。今回の研究で、この「谷渡り鳴き」が時空間的に雌と強い関連を見出したという。
調査は、新潟県妙高市、上越市で4月中旬~8月中旬にかけて実施。同地では春先にはまず雄がやって来てなわばりを張り、2~3週間遅れて雌が渡来し繁殖活動が始まる。その結果、時間的には、繁殖期の初めには、雄はあまりこの「谷渡り鳴き」をせず、雌が渡来すると活発に。
空間的にも、なわばり内に雌がいるところで行われることがわかったという。
「谷渡り鳴きを聞いた雌が薮に逃げ込むなど捕食者を回避する行動を示さないこと、非営巣雌(妻ではない未婚雌)