進化した『サイド・ショウ』はさらなる感動を呼ぶか? 主演の貴城けい&樹里咲穂を直撃!
(樹里)、「自分たちもいろんな経験を経て成長しているだろうし、新しいキャストの方と一からやりとりしたり、(演出の)板垣(恭一)さんから提示される新たな切り口もあって。1か所が変わるとパズルのように他の部分も変化していくから、初演を観た方も新しい気持ちでご覧になれると思います」(貴城)と充実した表情だ。
「初演は作り込んでいったけど、今回はどんどん削ぎ落としている気持ち」(樹里)、「シンプルなんだけど、深い」(貴城)と語る通り、稽古場ではこんな体験もあった。「通し稽古をした時に、ふっと姉妹の気持ちを実感できた瞬間があったんです。ヴァイオレットとデイジーは対照的な性格だけど、底の底では本当にふたりでひとりなんだと。『これだ!』っと思って隣を見たら、貴城さんもボロボロ泣いていて(笑)」(樹里)、「樹里さんも泣いてましたよね(笑)。穏やかなヴァイオレットが怒るときはデイジーがなだめるし、明るいデイジーが落ち込むときはヴァイオレットが強気になるっていうのが意図せずに体感できた。『あっ!』と思った瞬間でした」(貴城)。
人間は必ずしも一面ではない。普段は隠したくなるような何層にも重なるグラデーションを、真摯に描くからこそ本作は名作と呼ばれるのだろう。