武器の代わりに想像力を! 『クリンドルクラックス!』が伝えること
たとえば、ウィリアム・ブレイク(約200年前に活躍したイギリスの画家/詩人)に対するリスペクトが全編に感じられる。“太陽だって、月だって、自分を疑えば輝けない”というブレイクの詩の一節が物語のモチーフになっているんです」。
17歳の阿久津愼太郎から85歳の西本裕行まで、キャストの年齢層が幅広い。稽古していたのは、ラスキン(阿久津)が「学芸会で主人公を演じたい」と両親(酒井敏也、宮地雅子)に切り出すも、「お前には無理」と諭されるシーンだ。主役の最有力候補であるエルビス(伊阪達也)は、体も声も大きいガキ大将。そんなエルビスの存在、そして町を襲う魔獣ドラゴンの気配が、ラスキンには脅威だ。圧倒的な強敵に対して、弱者はどう立ち向かうべきか。陰山は言う。
「いじめの問題にもつながるテーマです。リドリーが伝えたいのは、“負けるときもある。ただ想像力だけは忘れずに生きていこう”ということ。結局ドラゴンを倒すのも、武器ではなく想像力なんですよね」。
様々な陣形を組みながら魔物を表現したり、ROLLYがギターの生演奏を披露したり。多彩な趣向は目にも耳にも楽しいが、想像力をフルに使って観れば、その楽しさがさらに膨らむに違いない。