ベトナム戦争を背景に“究極の愛”を描くミュージカル『ミス・サイゴン』。日本でも1992年以来上演を重ねる人気作だ。作中では様々な愛が登場するが、アメリカ兵クリスへの純愛を貫き、その間に生まれた息子へ無償の愛を注ぐのがヒロイン・キム。今年、そのキムを演じる笹本玲奈、知念里奈、昆夏美の3人に話を訊いた。
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キム役はミュージカル女優が憧れる役のひとつ。この役を、笹本と知念は2004年から演じている。「本当に大変な役。ひとつのシーンを終えて舞台袖に帰ったときの脱力感は、他の舞台にはないものがあります。
しかもキーがすごく高い。でも音楽がその気にさせてくれるし、その気になればその音が出る。感情と音楽がピタっとはまるんですよ」と笹本が言えば、「これ以上大変な役はあるのかと思うくらい。毎回これが最後と思って演じるのですが、終わるとやり残したことがある気がして、もう一度挑戦したいと思ってしまうんです」と知念も話す。だがともに「自分にとって大事な役」とはっきり口にする。
ふたりが演じるキムを客席で見ていたのが、今回初出演する昆だ。「最初に観たのは高1の時。1幕が終わって立てなくなるという経験を初めてしました。