くらし情報『これを観ないと始まらない。新国の「新・指環」開幕』

2015年10月2日 16:10

これを観ないと始まらない。新国の「新・指環」開幕

フリードリヒの代名詞とも言える名プロダクションだが、今回の演出は1996から1999年にフィンランド国立歌劇場で制作された舞台。ラインの流れを示す青いネオン管に始まり、まばゆく光る指環、ラストで燦然と輝くヴァルハル城まで、「光」が主役の演出だ。

際立っていたのが第3場。それまでのシンプルなセットが一転、舞台がせり上がって忽然と現れる地底界ニーベルハイムが、なんだかすごいことに。林立する「DANGER」の電飾。アルベリヒが隠れ頭巾を被ると、身体がすっと透明になっていくイリュージョン! あくまでも安っぽい陳腐な大蛇や蛙も(間違いなくわざと)登場して客席の笑いを誘った。もちろんこの演出に、もっと象徴的な意味を探り当てることもできそうだけれど、まず難しい理屈抜きで楽しめるのは幸せだ。これから3年かけて繰り広げられる長大なドラマ。
きっちり見届けるために、ともかくこの《ラインの黄金》を観ないことには話が始まらない。なお、開幕に先立ち、《ヴァルキューレ》と《ジークフリート》の上演予定が発表された。前者は2016年10月、後者は2017年6月。各6公演ずつが予定されている。

新国立劇場オペラ『ラインの黄金』は10月17日(土)まで東京・新国立劇場オペラパレスで上演中。チケットは発売中。

取材・文:宮本明

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