鈴木聡撮影:星野洋介
ラッパ屋第42回公演『筋書ナシコ』が、6月紀伊國屋ホールで上演中だ。劇団ラッパ屋による1年ぶりの新作公演について、劇団の主宰であり、脚本・演出を担当する鈴木聡に話を聞いた。
ラッパ屋『筋書ナシコ』チケット情報
本作の主人公は、40代の女性・ナシコ。個人も社会もビジョンの見えないこの時代で、ナシコが「人生の筋書き」を求めての七転八倒を、笑いとアイロニーたっぷりに描く……予定だが、実際の“筋書き”は「まだ完成してない」と鈴木は笑う。「ナシコさんは、これからの人生に筋書きがないと悩んでいる。そんな中でいろんな人と出会い、ある筋書きが生まれては消え、また別の筋書きが生まれては消え、最後はどの筋書きになるんでしょう、というお話です」。
鈴木自身、「演劇集団てあとろ’50」で脚本・演出を担当した大学時代を経て、大手広告代理店に勤める傍ら、劇団を立ち上げるという独特の“筋書き”の持ち主。その後、演劇中心に絞るまでは二足の草鞋でやってきた。
「僕らの世代はある意味とてもいい時代だったんですよね。高度経済成長があってバブルがあって。だから『なんとかなるだろう』と思って深く考えなかった。