多和田秀弥が舞台初主演で挑む『ソラオの世界』開幕!
夢の中でふたりは夫婦になり、共に老いていき、いつしかひとりになる。そのとき、それまでのしあわせに包み込まれるような空気がスッと溶けてなくなり、多和田から、寂しさと満足と諦めとさまざまな感情が静かに流れ込んでくる感覚に襲われた。
舞台中央には、ぐるりと回転する人の顔の形をした大きな舞台装置があり、登場人物はそれぞれカラフルなヘアメイクに幻想的な服装を身に付けている。そんな、どこか現実離れした世界の中で、ソラオが寝たり覚めたり、夢と現実を行き来する姿を観ているうちに、いったいどこからが現実でどこからが夢なのか、だんだんとわからなくなっていく。今観ているのは夢?現実?気付けばあっという間に引き込まれていた。帰り道、ふと「この舞台も誰かの夢だったのでは?」と考える。夢と世界の境について想像してみる。観劇後、自分がみている世界を不思議な空気で満たしてくれる作品だ。
SHATNER of WONDER #4『ソラオの世界』は、7月31日(日)まで、東京・Zeppブルーシアター六本木にて。取材・文:中川實穗