奇跡の来日公演を控えるオマーラ・ポルトゥオンド、現地ライブレポートが到着!
その姿に圧倒されつつも、深く感動する。
ひとつは恒例になったキューバ・ジャズ・フェスのひとこま、テアトロ・ナシォナル。現存するBVSCのオリジナル・メンバー4人全員がステージに上がった日。オマーラさんが登場すると、会場はひと際、熱した。そこにある空気が一瞬で2、3度あがったような気分。広い会場に響き渡る声。「えっ、本当にあの高齢のオマーラさんがこれほどの声で?」と思った瞬間、ふとピアニストと語り始める。「ほら、今ここにいる私が、こうしてピアノと語っているのよ」。
そう言いたげにさえ見える。演出力の素晴らしさ。15歳でデビュ―してから果たしてきた星の数ほどのステージ。培ったすべてが今のこの彼女にある。
あとひとつは、ハバナの誇るオテル(ホテル)・ナシォナル。この日のステージのすべてを彼女はひとりで歌いきった。温かく、時に切なく歌い上げる声。はたまたコミカルな踊りも。
その姿に私は「剽軽な魔女」という言葉を重ねた。まったく魔女でなければこんなことはできっこない。今年米寿の88歳。この来日ステージは、けっして見逃せない。Vamos !
取材・文:板垣真理子