とオファーしたのが、リアブコだ。輝かしいキャリアを誇りながら「いつもと違う、新しいことをしなければと思っていた」という。コロナ禍の中の厳しい制限下での来日。2週間の隔離生活を経てのリアルの稽古は、会見の前日に漸くスタートしたが、「オンラインでのリハーサルは隔離期間中に始まりました。皮膚を感じ、その内側から外側へと意識を向け、話すのとはまた別の形でのコミュニケーションをとる、いままでにない経験です」。
勅使川原作品に欠かせない存在である佐東利穂子は、「面識のない中で、この話を受けてくれた」とリアブコへの感謝の気持ちを明かす。「身体から感じること、感じようとしていることを、言葉ではなく、お互いに同じように感じ、交換することで学び、動きを創っています」と話す。用意された「あらすじ」には、芥川の短編には描かれていない「鬼」が登場するとある。
勅使川原は、「鬼は、もうそこに棲みついているのかもしれないし、あるいは人間の中にあるのかもしれない。神話というのは、そうした面白さがある。」
公演は、8月6日(金)〜8日(日)東京芸術劇場、8月11日(水)愛知県芸術劇場にて開催。チケットは発売中。
文章:加藤智子