花柳章太郎を追悼 1年8ヶ月ぶりの新派本公演が開幕へ
撮影:五月女菜穂
『八つ墓村』以来、1年8ヶ月ぶりとなる新派本公演が2021年10月2日(土)から新橋演舞場で開幕する。大正から昭和にかけて活躍した新派の名優・花柳章太郎(1894-1965)を追悼し、花柳章太郎ゆかりの『小梅と一重(こうめとひとえ)』と『太夫さん(こったいさん)』の二本立てで上演する。
初日まで1ヶ月を切った9月9日(木)、都内で記者会見が行われ、出演する水谷八重子、波乃久里子、喜多村緑郎、河合雪之丞が出席した。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、公演中止や延期が相次ぐ現状に触れた上で、八重子は「また新橋演舞場に戻ることができて、私としてはこんな嬉しいことはございません。まだまだ安心できない日々が続きますが、ほんの瞬間、コロナのことを忘れられる舞台をお見せして、花柳先生に『いい子だね』と言われるような芝居ができればなと思います」と語った。
花柳章太郎にまつわる思い出について尋ねられると、八重子は「最後の舞台をものすごくよく覚えております」として、役をつくってくれたこと、稽古の際に天丼を分けてくれたこと、襟足がとてもきれいだったことなど、多数のエピソードを感慨深そうに話していた。