西田大輔の『RUST RAIN FISH』、考察深まるTeam White初日レポート
中でも、本作で初舞台を踏んだ歌手の藤澤ノリマサは序盤から持ち前のオペラ発声を轟かせ、客席を圧倒した。「Black」で西田が演じた、探偵然とした振る舞いが特徴的な「黒木1(仮)」役だったが、開幕に際して西田が寄せた「俳優が変われば、物語がこんなにも変わるのかと言うぐらい、生きている俳優たちが舞台上にいます」というコメントを体現するような存在感を発揮する。
出演者には天野はな、板倉武志、尾崎由香、鶏冠井孝介、瀬戸啓太、高橋良輔、高柳明音、竹井亮介、廣野凌大、松村龍之介、宮平安春、山本涼介、吉田ウーロン太(五十音順)も並び、重厚でシリアスな世界観の中にも緩急入り混じったユーモアを感じさせた。作品を象徴するかのような冒頭シーンでは、天野と高橋が静謐な魅力で観客を劇世界へと誘う。
オンリーシルバーフィッシュが幻想的に漂う、大きな水槽の前で絡み合っていくミステリアスな駆け引き。各自が振り返りたい過去は、やがて国家の命運を賭けた大きな“作戦”の記憶へと繋がる。伏線にまみれたその道筋をたった1回の鑑賞で理解するのは正直難しかったものの、前回の「Black」で結末を知ってから観る2度目にしてようやく輪郭がハッキリしてきた。