『トリツカレ男』開幕、危なっかしいほどピュアな狂気が世界を変える
彼の恋路を見守るハツカネズミのトトには、初演(2007年)・再演(2012年)とジュゼッペを演じた畑中智行がキャスティングされた。同じ作品内での役替わりに際して、成井から「主人公の幸せをいちばん願うバディ役は、これまでジュゼッペを演じて気持ちを掴んだ畑中こそ演じるにふさわしい」という言葉を贈られた通り、ナチュラルなたたずまいでジュゼッペに応援の手を差し伸べる。危なっかしい彼の言動に肝を冷やしツッコミを入れる場面も多く、畑中は緩急自在のタイミングで観客と劇世界を繋げる役割も果たした。
ジュゼッペの想い人・ペチカもまた、故郷のとある人物に“トリツカレ”ている役どころ。演じる原田樹里は、可憐に立ち上げるペチカ像の中にジュゼッペと通じる狂気を忍ばせる。そんな二人が迎える恋路の行方は──。また過去のインタビューで原田が「ペチカを想って懸命にひた走るジュゼッペを、街のみんなが全力で支える姿を見たら『欠点含めて自然体に生きていい』と励まされるのではないでしょうか」と語った通り、にぎやかなパフォーマンスが特徴の圧倒的なハッピーエンドに背中を押してもらえるだろう。上演時間は約120分(休憩なし)。
公演は10月24日(日)