劇団ならではの魅力とパワー! SET、年に一度の本公演まもなく開幕
個々のキャラクターにきちんとそれぞれのドラマがある上に、役柄の中で俳優たちの個性が生き生きと輝いているのは、劇団公演ならでは。そして劇団員たちのチャーミングさを引き出しているのは何といっても主宰の三宅だ。俳優たちはまだ稽古段階なのでたまに台詞がつっかえたり、中には出とちったり(!)という局面もあったものの、それすらも三宅は拾ってツッコんで、エンターテインメントにしてしまう。笑いが絶えない雰囲気の中、幅広い年齢の劇団員たちが伸び伸びと魅力を発揮している。三宅による“オグちゃん(小倉久寛)いじり”も健在、ふたりのアドリブが爆発するシーンは劇団員にとってもお楽しみのようで、舞台袖から体育座りで楽しそうに見ているキャストの姿も見てとれた。
終盤にはしんみりするエピソードもありつつ、全編を通して描かれるのは時代劇愛。そして“自分の居場所”を守るために奮闘する人々の姿は、社会の一員として生活するすべての人の心を打つのではないだろうか。もちろん伊勢本福三役(いせもとふくぞう、これまた伝説の大部屋俳優を髣髴とする名前である)の栗原功平らを筆頭に、派手なチャンバラシーンも満載、ラストは最近映画化もされた某ミュージカル風!? に歌って踊って、大団円! “ミュージカル・アクション・コメディー”を掲げる劇団にふさわしく、ミュージカルもアクションもコメディも、盛りだくさんに詰め込んだSETらしい爽快な一作だ。